2012年07月10日

小説   烏 ②

深夜のテレビなどみる気にもなれない。

退屈で軽薄で身にもならないものばかり。

明日は雨天で休みとなったから、物書きの続きでも始めよう。意外と人気の妄想話を。

行儀悪く食事しながらパソコンを開ける。

コメントとメールをざっと流しみればどれも同じなないようばかり。

返信など後回しでソフトを開き原稿用紙に立ち向かう。

内容などは二の次で、構想さえもありはしない。

書き散らした幾つかの話の中からその日の気分でいきなり書き散らすと、彼女からのメールに気が付いた。  


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2012年07月06日

小説   烏 ①

夕暮れどきの田舎道

烏が一羽とまってる

うつむき歩く僕の上

電信柱でやすんでる


見上げた僕など意に介せずに

静かに夕日を眺めてる


オマエのキモチを教えて欲しい

群から離れた心の内を

オマエのリユウを聞かせて欲しい

孤独に生きるその意味を


呟く僕を意に介せずに

一声鳴いて烏は翔んだ

僕を残して翔んでった





重い足取りをとめてドアを開ける。

しんと静まり返る部屋にただいまを言うことなく、どかっと腰をおろす。

冷え切った食事が盛られた皿など押しのけて、ひじを付き頭を抱え込むと今日一日の疲労が足元に沈んでゆく。

とりあえず風呂にでも入ろう食事はそのあとだ。

更に重みを増した腰をあげ、荷物をベッドに放り投げると汗でへばりつく下着を脱ぎ始める。

なに、口うるさい娘も文句ばかりのアイツも今はいないのだから。

夜更けに浴びるシャワーは、やけにぬるくて疲れなどいっこうに取れないことを感じながらボクは濡れるままに佇んでいた。  
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